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第4話 はじめてのインドのダンスクラス

先生の住んでいらっしゃるTナガルのアパートの筋違いには、女神を祀ったヒンドゥ寺院があります。赤と白のストライプの塀の上には、色とりどりに彩色されたヒンドゥの神々。華やかなその入り口には、寺院にお参りする人のチャッパル(サンダル)を預かりながら、お花などを売っているおばちゃんが何人か居ます。まずは、はじめてのクラスの前にそこに立ち寄り、昨日、先生に言われたプージャの為のお花やその他諸々を買ってから、クラスに向かいました。

ダンスサリーに着替えたら、クラスの部屋に入ります。

先生は、ダンスクラスの大きなナタラジに、わたしが持ってきたジャスミンの花輪を綺麗に飾っていかれます。

タコ糸の様なもので編まれている花輪は、プチップチッという音と共に手で程よい長さにカットされていきます。

茶色いケバケバを取られて、サルバントのコックさんに渡されたココナッツの実は、綺麗に2つに割られ、タンブラーに入れられた中のジュースと共に戻ってきました。

先生は、カンプ―ラムに火をつけてナタラジに向かって何回か右回りに大きく回してから、上から下にスーッと引くように下ろされて、床に置かれました。

鐘の音、アガルバティ(お香)の香り、アーラティの火・・・・・・先生は、わたしにその火に手をかざして、その手を眼の部分にあてるように言われました。身が引き締まります。


最後にナタラジの御足に触れて「踊りを始めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます」とお祈りしました。それから、サリーのグルの足元にひれ伏し、はじめてのブレッシングをいただくことができました。

どうぞ、グルを通して、踊りとのよいご縁が永く続きますように。ありがとうございます。

クラスは、ナマスカーラム、踊りのご挨拶の仕方から習います。

先生が私の前に立たれます。

合掌して、両手を肩の高さに開きながら、足を踏み出します。

えっと、これは、どちら足なのかしら?先生は左足を踏み出されています。

たぶん、鏡のようにしてらっしゃるのだと考えて、右足を踏み出しました。

初めと終わりに必ずするこのご挨拶では、合掌したその手を頭の上の位置で「神に」、額の位置で「グルに」、胸の前で「ブラーミンに」お祈りします。そしてムルマンディ(蹲踞の姿勢に似ています)まで腰を落としたら、両手で地に触れ、ブーミデーヴィーに、大地を踏みしめ舞う事の許しをこうのだと教えていただきました。

ナマスカーラムを習ったら、いよいよ初めのステップです。

小さな子供が習いに来ても、バラタナティヤムのエキスパートが来ても、皆、この「ターンディギディギテイ」からはじめます。

クチプディには、バラタナティヤムにある、タットゥアダウ(タッタアダウ)のようなものはありません。アラマンディに慣れたり、サマパーダ(フラットな足)で大地を踏む練習などは、ないのです。いきなり腰を落として、足を開いて、ハスタ(舞踊の手の形)を駆使しながら、ステップを踏む練習が、はじまります。

ディギディギという聞きなれないボルを頭に刻みながら、最初のステップは、なんとかこなしました。

同じボルでチャトラストゥラム(4拍子)のアダウ(ステップ)は続きます。

ターンディギディギテイッ! 、

おおっ、いきなり2番目のステップがこれですか、、、、、

手がここからあそこに行くのだけれども、いつハスタを変えて、、、弧を描く手はこのラインを通っていいのでしょうか?ステップも難しいし、バランスをとるのはもっと難しいし、えっ、それで、首がこっちにベントして、視線はこっちですか????

体幹がしっかりしていないと、ぴょんぴょんしたり、ちゃんとポスチャーがとれなかったり、大変な事になりそうです。頭の中が知恵の輪状態になって、とりあえずな感じで動いていますと、先生に「セイムレフト」と言われました。そうです。ほとんどのステップが右があったらその反対の左があるのです。

えっと、えっと、えっと。

冷汗が出てきます。

これは、大変学び甲斐がありそうです。

最初のクラスでそのような事を先生にお聞きする余裕がなかったのが幸いでしたが、毎回のクラスでビデオを撮らせていただいたり、ひとつひとつの振りを、その場、その場でスケッチしたりするのは、禁止の様でした。

外人でも特別扱いはありませんでした。

今の様にユーチューブも何にもない時代です。真剣に向き合わなければいけませんでした。先生のボルを、今日教わった振りを忘れたら、また次回のクラスで聞かなくてはいけません。

その繰り返しです。

ひょえーっ、、、、、

4つくらいアダウをやると、「では本日のアダウをもう一度」と先生は初めに戻られます。

先生は教えてくださいますが、常時、一緒に踊ってくださるわけではありません一度、習ったら生徒は、とりあえず覚えて動けないとまずい感じです。

「アダウを初めから」と先生に言われるその頃には、初めての動きにすっかり翻弄されてしまって、頭が真っ白になりました。

ターンディギディギなんだっけ??? です。

最後にシュローカ(サンスクリットの詞)を先生の後について言って、ナマスカーラムして、初めてのクラスを終えました。

とても疲れたのに、時計を見ると、まだ3,40分くらいしか経っていません。

帰り道、パナガルパークでライムジュースを4杯くらいがぶ飲みしたわたしは、Tナガルの喧騒と照り付ける太陽、そして着替えても噴き出してくる汗にぐったりしました。

どうやらインドのクラスは、see&doのようです。

『見て、踊りを学び、踊る』

今からホテルに戻って、頭の中にある踊りの断片をスケッチする作業をしなければいけません。

こうして、インド方式のダンスクラスの毎日がはじまりました。

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